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クリニック通信

ここでは、医院内の出来事やセミナー体験記等を更新して参ります。



伝統と歯科科学との結晶

  数年前にロンドンの大英博物館で偶然にも、人間国宝で三代徳田八十吉先生の作品に出会いました。先生は日本伝統の色絵磁器の技法を基本に、色の微妙な濃淡の変化と色彩の対比が生み出す「耀彩(ようさい)」というまったく新しい独自の芸術観を確立されました。名の通り、かがやく色彩でした。

 

図1.JPG

 

なめらかなグラデーションにするためには、器の表面に少しの凹凸も許されなず、影ができないように、素地は焼成されたあと、入念に研磨されて、その上に丁寧に彩絵し焼き上げ、さらにその具合を見て再度彩色して焼き上げるので、ガラスに閉じ込められた色は永遠に輝き続けるのです。私の顔も映るほど、器の表面がなめらかでした。

 こんな職人技は歯科の分野でも生きているんのですよ。

 

当院のスタッフで、前歯の着色が気になり、ホワイトニングでも落ちない着色でしたの

で、ラミネートベニアという治療法を行いました。歯の表面を薄く一層削って、薄いセラ

ミック(ラミネートベニア)を歯の表面に貼付けることにより、歯へのダメージも最小限

で、理想的な色・大きさ・バランスで前歯を作り上げる方法です。(詳細は、受付にある

当院院長の症例集を見ていただければ、その自然な仕上がりがわかると思います。)

 待ちに待った完成品が来ました。

 

図2.jpg

自然な色と形のために、薄さ零点数ミリの単位で陶材を盛っては、1000℃を超える高温で焼き、色と形を見て築盛と焼成を繰り返して初めて完成を見るのです。繊細さと創造力が必要とされ、まさしく職人芸にふさわしい仕上がりでした。

 スタッフも大喜び!喜びのあまり、不注意でそれを割ってしまいました、笑

 

図3.jpg

 しかし、確かにきれいですが、こんな脆いものが口の中に入れても大丈夫のか。大丈夫です。近年歯科分野の研究は著しい発展を遂げています。陶材と歯というまったく異なる物質を接着する方法が開発されており、実際の治療の中で使われています。その接着システムを用いて、ラミネートベニアに限らず、セラミックを歯と完全に一体化すれば、口腔内の三次元的な咬合力にも耐え、永遠に輝き続けるのです。

 伝統を忠実に守り、かつ現代科学との融合から生まれたある種の「超越」を、審美歯科に感じました。                               

                                           Dr呉

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